渡辺喜美

時事通信に掲載された「みんなの党」代表の渡辺善美のインタビューを抜粋してみる。

 −デフレと財政再建は大きな課題だ。街頭演説では「増税する前にやることがあるだろう」と主張していたが、どうやって経済を立て直し、財政再建を図るのか。

 日本の国家経営のゆがみは、国のグロスの借金も大きいが、反対側の資産もやたら大きい。資産の大半を占める金融資産が天下りネットワークに流れ込んでいる。これが官が民を支配するシステムとつながっている。官僚統制、中央集権の結果、日本が衰退国家への道をひた走っている。デフレから脱却できない根本的原因もここにある。経済活性化と財政再建はまさに表裏一体の話。われわれは、大きな政府を圧縮して小さな政府をつくる。当然、反対側にあるグロスの借金も同時並行で減っていく。
 「官から民へ、中央から地方へ」という流れはこのプロセスだ。われわれは、民が主役の成長路線を目指す。経済成長は官僚統制では達成できない。民がチャレンジし、イノベーションを起こして初めて中長期の経済成長が達成できる。日本は今、相当その力が衰えてしまっている。まずデフレを脱却する。デフレギャップを放置しておけば、デフレ脱却はあり得ない。
 財政政策よりも金融政策によってこのデフレ脱却を図っていこうと、財政・金融一体政策を提案している。名目4%成長は黄金律だ。10年でGDPは1.5倍、給料も1.5倍、年金も1.5倍になる。当然、税収が増えて、増税なしに財政再建の軌道に乗っていくことが可能になる。
  名目4%成長で基礎的財政収支プライマリーバランス)の回復が図られる。おそらく5年ぐらいでプライマリーバランスは回復し、10年ぐらいでネットの借金はGDP対比で50%ぐらいの水準になるはずだ。こういう当たり前のシナリオをなぜ描こうとしないのか。自民党時代は名目2%成長、民主党になっても名目3%成長。結局、増税しかないとキャンペーンをしているようなものだ。増税をすればデフレは延々と続くだろう。消費税を1%ずつ上げて、強制的に物価を上げれば需要が前倒しになるという意見があるが、全くのでたらめだ。給料が1%以上あがり、実質所得が増えればあり得るが、所得が伸びないのに強制的に物価を上げれば、ますます消費が冷え込むのは決まっている。
  結局、日銀もデフレを脱却をしない金融政策をやり続けている。全国消費者物価指数(CPI)は0%からマイナス1%にはまり、財務省もデフレの袋小路にはまっている。財政・金融当局がデフレの中にはまって出られない状況だから、官僚依存ではない、真の政治主導で国家戦略を打ち立てないとデフレ脱却は難しい状況だ。

 −消費税を引き上げなくても、経済成長も財政再建も可能なのか。

 可能だ。まず、デフレギャップを解消して、民間のチャレンジ、イノベーションを発揮させれば十分に可能だ。

 −経済成長4%は相当厳しい数字だが。

 それはデフレだからだ。デフレだから厳しく見える。実質2%、消費者物価2%で名目4%は可能になる。難しい話でも何でもない。

彼は以前に行政改革担当大臣をやっていたころ、「私のしごと館」という施設を潰したが、それ以外にさしたる実績はない。いやこれすら森永卓郎氏に徹底的に批判されていたのを思い出す。社会科見学でやってくる多くの生徒で賑わっている施設だというのに、こともあろうに日曜日に視察に来たあげく閑古鳥が鳴いていると感想を漏らしたというのだからお笑いである。

その渡辺氏がこのインタビューでは人が変わったようにまともなことを言っている。需要不足が経済の不調の要因になっていること、名目成長率の安定こそがイノベーションを産む土壌となること、増税がさらなる経済悪化を招くことといったマクロ経済の基本的な理解ができているのである。一体彼に何が起きたのであろうか。驚くばかりである。

イデオロギーで政治をする民主党や、デフレ大魔神の与謝野が出ていったにもかかわらず参院選の公約に増税を掲げる自民党に比べて恐ろしくまともである。

次期参院選でのみんなの党の躍進を期待したい。