三馬鹿トリオ

鳩山内閣は7兆2000億円規模の第二次補正予算を組むと決定したようである。まとまった規模にはなったと思うが、その決定過程がお粗末である。
三馬鹿トリオというのはもちろん鳩山由紀夫総理大臣と菅直人副総理と藤井裕久財務大臣のことである。菅直人は補正に1000億円を積み増すかどうかで亀井静香金融大臣と20分も口論したという。勝間和代にマクロ経済のいろはを教わらねばならぬほどの経済音痴が東京大学経済学部卒の亀井大臣に噛み付く様は実に滑稽であるし、せっかく勝間先生に教わったこともすっかり頭から抜けているようだ。菅直人イラ菅と呼ばれ、感情的で愚かな人物であるとよく報道されるが、これが我が国の副総理だというのだからお手上げである。
藤井裕久財務大臣についても大いに問題がある。予算要求が膨れ上がるや否や、国債発行が44兆円を超えると大変だと騒ぎ出した。彼の口癖は「財政規律の維持」である。頭の固い財務大臣らしく、財政規律の悪化による国債の暴落を何よりも恐れているのである。確かに政府が非効率な予算執行を行えば財政規律が低下するのは事実であるが、そこは有能な政治家が目を光らせて鞭を振るえばいくらかは改善が期待できる。できなければ東ドイツソ連のように非効率で低成長の未来が待っているし、いずれ国家が崩壊するかもしれない。であるのに民主党鳴り物入りで始めた事業仕分けによって、党内の人材の薄さと無能さを露呈してしまった。つまり事業予算を拡大してもそれを制御する能力がなく、経済全体の生産性は低下すると予想せざるを得ない。もしかして財務大臣はこのことを見越した上で、強硬に予算要求の減額を主張したのであろうか。だとすればお笑いぐさである。
しかしながら彼は財政に対する根本的な認識が間違っている。それは、財政赤字と財政規律は独立した要素であるということだ。不況時には財政を赤字にしなければいけないというのは常識である。これは赤字企業には法人税がかからないことをみてもわかるように、経済の安定を目的にしてきちんと設計された制度である。そうであるのに、この不況時の財政赤字を財政規律の悪化と同一視しているのである。この明らかな事実誤認は「国債増発もやむを得ない」といった表現からも見てとることができるが、このような狂った軽薄な思想を持った政治家の如何に多いことか。当然ながら鳩山由紀夫総理もその一人である。
普通の国ならば、中央銀行による金利の引き下げを行っていけば景気悪化には対処することができる。経済学者もよくいうことだが、景気は中央銀行の責任だという論法である。しかし残念ながら我が国経済はゼロ金利の上にデフレが深刻化している状況であるから、日銀の力だけで景気浮揚を行うのは難しい事情がある。
そうなると積極的に財政政策を推し進めるしか無いのであるが、公共インフラの整備を景気サイクルに合わせて実施するようなことは当然としても、その他の予算規模が大きくなった場合は無能な民主党には舵取りが難しくなる。
そこで私はこんな政権でも簡単に行える財政政策として大規模な減税、特に消費税の撤廃を主張している。消費税を撤廃しそれと同額の国債を発行すれば財政規律を維持したまま、つまり官僚が扱う予算額を一切増やすことなく財政を大幅な赤字にすることができるのである。もちろん財政が赤字になった分はそのまま国民の財布に入るのだから、差し引きはゼロであり、誰も損をしない方法である。