インヴィンシブル投資法人はどうなる

さてもう一つの注目REIT、2月にLCPと東京グロースリートが合併して誕生したインヴィンシブル投資法人についても考えてみなければなりますまい。

6月の中間決算(8月20日発表)を見ても負ののれんやらが影響してイマイチよくわからなかったのだけど、よく見たらちゃんと収益と費用については見通しが載っていた。そこから営業利益と純利益を計算すると以下のようになった。(1年分)

営業収益 営業費用 営業外費用 営業利益 純利益 純利益比率 投資口数 一口あたり純利益
5,381 2,579 1,945 2,802 857 0.3059 636,695 1,346

ふむふむ。かなり金利を搾り取られている状況だということがわかる。しかも借入金のリファイナンスに苦労しているという開示まで出ていたはずで、相当やばそうだ。
一口あたり純利益は1346円であるが、現時点の予想分配金は400円である。これは中間決算後の借り入れ条件変更などにより、さらに営業外費用が嵩むことになったためだろう。

さて、ここは計43,026百万円の有利子負債があるのだが、それらの返済期限はすべて同日、12月30日となっている。このリファイナンスに失敗すればNCR以来のREIT破綻劇となるのである。
しかし常識的に見てREITの破綻は起こらない。金融庁が許さないはずである。REITを破綻させないために官製ファンドの制度まで作ったのである。だから現在よりさらに不利な条件でリファイナンスされるか、大手スポンサーの傘下に入るか、あるいは解散するか、、ということになる。解散と破綻は大差ない気もするけど、印象は違うわな。

ちょっと解散価値について考えてみたい。インヴィンシブルの保有物件の鑑定価格は67,669百万円と書いてある。有利子負債の金額より大きいので一安心だ。鑑定価格で物件売却して有利子負債を返済したとすれば一口あたり38,705円が残る。

いやいやそんな鑑定価格ですんなり売却できるわけがないという向きもあろうから、2割引でしか売れなかったとしよう。しかしそれでも一口あたり17,448円が残る。12月10日の投資口価格は13,320円であるから、これは売られすぎと見て間違いない。

返済期限をここまで引き延ばしているのだから、このまま何ごともなくリファイナンスしておしまい、なんてことは無い気がする。何か動きがあると考えれば、今の価格水準には投資妙味があるのではないか。