就職率

大卒生の就職率が低いとか何とか。そりゃ景気が悪いので低いんだけど、ヤフーでアンケートしてたので投票してみた。

「2010年春に4年制大学を卒業した学生の就職率は60.8%で、前年より7.6ポイント下がったそう。大卒の若年層の就職状況改善のために最も見直しが必要だと思うのは?」

なんていうか、この選択肢はもはやアンケートなんていう代物ではないよなと。
前年より7.6ポイント下がったことに注目して質問しているわけなんだから、2008年のリーマンショック以降の景気後退による就職率の低迷について、どこに原因があって見直しをせねばいけないかという話です。それなのに選択肢がおかしいというかなんというか。

  • 「大学生の供給過剰」

21%もの人がこれを選んでいるわけだけど、頭大丈夫かね。
そりゃあ優秀な学生から順番に就職するだろうから、就職率が低い最後尾の馬鹿田大学が無かったならば大卒就職率は落ち込まないだろうが、そういう問題じゃないだろう。
もともとこの質問は、馬鹿田大学の卒業生が就職できなくて困っているけどどうしたらいいかと聞いていることと同じである。それに対して「馬鹿田大学がなければいいのだ」と答えるなんて頭がどうかしている。

  • 「大学の教育内容」

漠然としたよくわからない選択肢である。
学生の質が悪いと言いたいのだろうか。
企業としては採用した人間の給料を払わなければいけないから、業績の見通しの範囲内でしか採用は行わない。その中で使えそうな学生から順番に取っていくだけだから、学生の質が全体の就職率に与える影響は大きくはない。
だからこの選択肢を選ぶのも間違い。
もっとも、当の学生にとっては競争を勝ち抜くために優秀でなければいけない。

  • 「日本の雇用慣行」

年功序列のせいで若者の就労機会が奪われているという意見はよく聞かれる。
日本の雇用慣行は実力主義になっていないという面は確かにあると思うが、仮に雇用が流動化したとしてそれによって改善するのは潜在成長率であり、失業率については悪化する可能性がある。
またジャパンアズナンバーワンと言われた時代を思い出してみれば、果たして本当に潜在成長率が上がるのか疑問符がつくところもある。

それに最近は実力主義の文脈でなく、単に年長者は給料が高いからというだけの理由で雇用の流動化を主張する者が多くなっているように思う。
しかしこれは物価が上がらないのが原因である。インフレ目標を取らない政府日銀と給与の下方硬直性が合わさればこのような弊害が起こるのは自明である。つまり問題は雇用慣行ではなくて経済政策にあるということになる。
そもそも慣行とは文化であり、そう簡単に変わる物ではないし、政府が勝手に変えて良い物でもない。それによる国民生活への影響の予測も難しい。

よってこの選択肢を選ぶのも間違いとなる。

  • 「若者の勤労意識」

これも意味不明である。景気が悪くなったことで勤労意識が低下したと言いたいのだろうか。これを選ぶ者は本物の馬鹿だと思う。

普通はこれが正解である。
もともと金融の問題で起こった不況であるのだから、馬鹿になった気で金をばらまけば解決するはずである。物がないとか技術がないという不況とは根本的に解決手段が異なるのである。
国民一人あたり100万円ほど配ればだいぶ良くなるはずである。

通貨高を伴った不況なんて言うものは政府がよほどの無能でなければ起こりえない。
一刻も早く菅直人を失脚させなければいけない。

  • 「特に見直さなくていい」

注目はこれである。
論理的に考えた場合は景気対策とこれとの2択になるはずである。しかしながらこれを選んだ人間は2%しかいない。どういうことか。

7割近くの人間が質問と本質的な関わりのない選択肢を選んだというのが現実なのだ。そんなものなんだろうか。責任者は誰か!