名目と実質の区別がつかない馬鹿

サラリーマンなどは給与所得が増えないどころか逆に減る昨今ですが、暮らし向きがそんなに苦しいわけでもないですね。商店には安いものが溢れており、お金を使わなくてもそれなりに暮らせます。弁当は300円からありますし、第三のビールやらプライベートブランドやらとにかく安いです。何故でしょうか。

これはもちろん企業努力によるものです。自由経済の目指す効率化の作用が働いているからです。日本は他国に比べて教育水準は高いし社会インフラもよく整備されています。だからこそ成果を挙げているわけです。

しかしながら景気が悪いといわれます。何故でしょうか。これも簡単、デフレだからです。企業が努力を重ねてコストを削減した場合、名目経済にはマイナスの圧力がかかります。商品の売価が下がるのですから当然です。しかし資本主義経済を支えるあらゆるシステムは経済の縮小を想定したものではありません。

給料が変わらず物価が1%下がるのと、給料が3%上がり物価が2%上がるのではどちらが良いでしょう。実質どちらも同じに見えますが、前者は資金を運用せずに金庫にしまっておくだけでお金の価値が増えていきます。後者は経済の拡大に見合った運用をしないとお金が目減りしていきます。前者の状態が続けば投資のインセンティブが失われ、経済活動が停滞し、景気が悪化するのは当然です。今のわが国はこの状態にあります。

最近は企業年金が運用先に困り、高利回りを謳うヘッジファンドなどに投資をしていたようですが、サブプライム問題で大損失を被ったようです。この場合リスクを計れない年金運用者を責めてもせんなきことです。無成長状態に放置した政府に責任があるというべきでしょう。

与謝野馨という政治家がいます。ここ数年わが国の経済を担当している大臣ですが、これがとんでもない人物なのです。以前デフレによる経済悪化についてのやり取りの中、こんな話をしていました。
「たとえばこのタオル。これ2枚で100円なんですよ。2枚でですよ。安いですよね。デフレといっても悪いことばかりじゃないんです。」
タオルが安くていいことだというのは実質経済の話です。しかしデフレの弊害というのは名目経済の話ですから、完全に論点がずれています。わざとこのような話をしたのなら、国民を地獄に突き落とす悪党であるし、そうでないならただの無知な馬鹿ということになります。どちらにしても経済担当大臣として適性を欠いていることは言うまでもありません。タオルが安い場合、それによって浮いた金が別の分野に回らなければ良いことはありません。しかし政府は価格下落による名目経済の縮小に対する手当てを行っていないので、金が回らずに悪い面ばかりが現れているのです。

最近は介護などの財源として消費税を上げて国民全体に応分の負担を求めるべきだという意見をよく耳にします。この場合、大企業にとっては自らの負担が相対的に減るので大企業連合である経団連が消費増税を主張するのは理にかなっています。しかしながら、そうではない人々や政治家までこの論理を正しいことのように主張している者が多いことに驚きます。まったく滑稽で哀れなことです。

当然ながら、増税は名目経済を縮小させます。仮に政府支出を100兆円増やす場合、100兆円の増税を行うか100兆円の国債を発行するかはどちらも実質経済にとって同じことですから、名目経済をどうしたいかによって適したほうを選べばよいのです。

自民党では先週、骨太の方針2009では社会保障費の削減を行わないという対応をとりました。結構なことです。しかしながら消費税は増やす方向で異論が無いようです。やはり馬鹿の集まりです。

税は社会政策としての効用があります。社会にとって望ましい経済行動を奨励するために、税率は恣意的に設定されます。しかし消費税はこのような効用を持ちません。また、法人税は景気状態に応じて徴税額が上下するので景気の浮沈を緩やかにする効果がありますが、これを消費税にシフトさせようと主張する集団がいます。このようなことをすると、景気変動が激しくなり、国民生活の安定が失われます。自殺者も増え、学校に通えない子供も増えることでしょう。

さて、民主党は無駄を省いて予算を確保すると主張していますが、これもやはり馬鹿なことです。予算には下方硬直性があるものです。役人も人間ですから、去年より予算を減らすと言われて素直に受け入れることはありません。必死に抵抗するでしょう。すったもんだを繰り返しているうちに時間ばかりが浪費されていくことは想像に難くありません。

ではどうするか。簡単なことです。名目経済を拡大すればよいのです。つまり必要な予算は国債発行でまかなえばよいわけです。当然ながら消費税は撤廃します。適切な政策により仮に名目経済が5%成長したとすれば、予算を据え置いた分野は実質5%の削減をされたことと同義になります。この場合、数字を減らされたわけではないから反発は小さくてすむでしょう。

よく国債が増えると金利ばかりが上がって大変なことになると脅す集団がいます。もちろん国債の増発は金利の上昇圧力になりますが、それに見合った経済成長率を実現できればなんら問題はありません。それに数百〜数千兆円ともいわれる金融危機の損失額を鑑みれば、金融緩和で大幅なインフレにすることのほうが難しいくらいでしょう。最初に述べたように、わが国は人的資源にもインフラにも恵まれており、前向きな経済活動を行える下地さえあれば他国を圧倒する潜在成長力があると考えられます。

それなのに自民党民主党も頭の悪い政策ばかり主張しているので大変情けなく思います。まともなところは国民新党くらいですかね。他に無いのか、、と思っていたら、ありました。

幸福実現党

宗教法人幸福の科学を母体とする新しい政党ですね。宗教と聞くとちょっと心配に思うところですが、わが国を代表するカルト教団創価学会が政権与党に入っているくらいですからあまり気にする必要はないように思います。堂々とパンフレットに幸福の科学による政党だと書いてあるので公明党ほどの気持ち悪さも感じません。

さてこの幸福実現党ですが、主張はど真ん中の直球勝負で大変好感が持てます。消費税は廃止して消費喚起し、人口増大により経済成長を目指すと主張しています。国防にも力を入れ、原子力潜水艦を配備し宇宙防衛システムも導入するそうです。

いろいろ突っ込みどころはあるみたいですが、こういう真っ直ぐな主張は好感が持てます。議席が取れるといいですね。