住宅市場、本格的な回復は2010年度と予想=木村・三菱地所社長

[東京 17日 ロイター] 三菱地所<8802.T>の木村恵司社長は17日、低迷する住宅市場について、本格的な回復は2010年度との見通しを示した。

 また、不動産投資信託(リート)の市場不振を背景に、リート運用会社の主要株主の交代などが増えていることについては、三菱地所としても今後、リート買収の可能性があるとの考えを示し、現在、手がけていない商業物件や住宅(レジデンシャル)物件を投資対象とするリートへの関心を示した。

 ロイターとのインタビューで述べた。

 木村社長は、マンションの売れ行きについて、一部物件の価格が低下したことや住宅ローン減税の効果などがあいまって、初めてマンションを購入する顧客層は戻ってきているが、高額物件の売れ行きに関しては「契約にいたるまでに時間がかかっている」とし、依然鈍い点を指摘した。

 在庫は「首都圏に約8000戸あり、まだ多い」としたうえで、今後、在庫が、ある程度減るなど買いやすくなるまでには時間を要し「本格的な回復は2010年度だろう」と述べた。

 不動産市況が低迷するなか、三菱地所の主力の一角である住宅事業ではマンション販売が減少し、2009年3月期決算では棚卸資産の評価損が全体の収益を圧迫した。2010年3月期のマンションの粗利益率は09年3月期の21.7%から11.1%への低下を想定している。

 一方、もう1つの中核事業であるオフィス事業に関連し、市況全般について木村社長は「これから先、空室率がどんどん上がるとは思わないが09年度は賃料の低下は続くだろう」と述べた。三菱地所は2010年3月期の空室率は3.2%と、前期の2.86%から悪化するとの見通しを示している。

 <リート、買収の可能性>

 こうした不動産市況や経済の低迷を背景に、銀行の貸出し縮小や投資家離れが続き、日本のリート市場では、親会社の経営破たんやリート運用会社の主要株主の交代が増えている。

 17日には大和証券グループ本社<8601.T>が、ダヴィンチホールディングス<4314.OJ>から不動産投資信託(REIT)大手のDAオフィス投資法人<8976.T>の運用会社、ダヴィンチ・セレクト(東京都中央区)の全株式を取得するとともに、DAオフィス投資法人が実施する100億円の第三者割当増資を引き受けると発表した。

 木村社長は、こうした流れについて「われわれとしても、いいリートがあれば買収はあり得ると思う」と述べた。そのうえで、三菱地所は「オフィスリートは持っているが商業リート、物流、レジデンシャルなどは持っていない。地所とどうリンクして行けるかがテーマで、そういう意味で商業やレジデンシャルはもう1つ持っていてもいいだろう」と述べた。

 三菱地所は、オフィスビルに特化したリート事業は手がけており、ジャパンリアルエステイト投資法人<8952.T>の運用会社の筆頭株主

 ただ、投資対象となっている物件の中身や運用会社の人材、コンプライアンスの問題などの諸条件が納得できなければ買収には踏み切れず、考えが共有できなければ自前で行うやり方もあると述べた。

 <不動産投資マネジメント、グローバルな基盤づくりへ>

 一方、三菱地所は2010年度を最終年とする中期経営計画で、不動産投資マネジメント事業の強化をあげている。08年2月の同計画発表時には、国際的な事業基盤を構築するため海外で不動産投資マネジメント会社の合併・買収(M&A)も検討するとしていたが、具体的な公表には至っていない。

 木村社長は「引き続き探している」とし、中計の方針は継続していることを示した。また、米国でファンドを組成する準備も進めているという。投資を始める時期や規模は未定としたものの、木村社長は「できるだけ早く(ファンドを)作りたい」と述べ、投資チャンスを早期に捉える考えを示した。当初の投資対象としては、ニューヨークのオフィスビルなどを想定しているという。

(ロイターニュース 江本 恵美、勝村 麻利子)


商業物件や住宅物件を投資対象とするリートへの関心を示しておられます。住宅物件だけじゃないところに注目するべきなのでしょうか。買収条件について踏み込んだ発言がされているので、現在交渉中ということが伺えます。もしかするとレジコマを同時に買収する可能性もあるのかもしれません。楽しみです。